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2014.11.11

第十一回 遺産相続における遺言書の作り方

こんにちは。

今回は、「遺産相続における遺言書の作り方」テーマに取り上げます。

急なご不幸の当事者になり慌てないためにぜひお勧めしたい、遺産相続に有効な遺言書の作り方や注意点についてお伝えさせていただきます。

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○なぜ遺言が必要なのか?

遺言とは,自分が生涯をかけて築きかつ守ってきた大切な財産を、最も有効で有意義に活用してもらうために行う遺言者の意思表示です。
遺言が無い為に、遺産をどう分けるかで遺された家族間で、争いの起こる事が少なくありません。
今まで仲の良かった家族が、相続を境にして争いを起こす事ほど悲しい事はなく、自分が財産を築いたばかりに残された家族間で争いが起こるなら、財産を残さなかったほうが良いかも知れません。
あるデータによれば相続争いの70%以上は、遺産が5千万円以下のケースで起きているようです。
相続税がかかるほど財産を持っていなくても、遺言状は作成しておいたほうが良いことを物語っています。
遺言書を作成しておけば、遺言者自らが財産を誰にあげるのかを意思表示することができ、相続争いを防ぐ事ができるのです。

○こんな人は遺言書を作成すべき

以下のような事に心当たりがある方は、遺言状を作成しておいたほうが良いでしょう。

《自分で築き上げた財産なのだから、自分の意思で財産の配分を決めたい人。》

自分が生涯をかけて築き上げた財産を、遺言者自身の意思で配分する事ができます。

《子供や両親がいない夫婦で、妻に全財産を贈りたい人。》

法定相続になると、夫の財産は妻が4分の3、夫の兄弟姉妹が4分の1の割合で分けることになり、夫の兄弟姉妹には遺留分が無いので「全財産を妻に相続させる」との遺言を残しておけば財産を全部妻に贈る事ができます。

《遺言者に貢献してくれたり、世話をしてくれた人に財産をあげたい人。》

遺言者に貢献した相続人には「寄与分」という相続区分が認められており、その働きの評価額「寄与分」を共同相続人間で協議して決定し、その評価額を相続財産から引いた残額を遺産と仮定して相続分を計算します。
特別の働きをした相続人は、遺産の法定相続分にあらかじめ引いておいた評価額「寄与分」を加えた分が相続分となります。
寄与分の存在やその額について相続人間で話し合いがつかない場合は、特別の寄与をした者は家庭裁判所に審判を求めることができます。
家庭裁判所は、寄与の時期・方法・程度・遺産の額などといった一切の事情を考慮して「寄与分」を決めます。
寄与分の額は、相続開始時の財産の価格から遺言により遺贈された価格を差し引いた額を超えることはできません。

《相続権の無い人に財産をあげたい人。》

下記のような相続権の無い人に財産をあげたい場合は遺言書を活用すべきで、相続人ともめるケースが多いので遺留分に気をつける事が必要です。

  • 内縁の妻
  • 愛人
  • 子供が相続人になる場合の孫
  • 介護など特に世話になった人
  • 子供の配偶者
《自営業で跡継ぎの子供に事業を継続してほしい人。》

法定相続に応じて財産を分けようとすると、事業の経営・財産基盤が弱体化し衰退すると考えられる場合、遺言により後継者に配慮した遺産配分を行うべきです。

《相続人同士が仲が悪く、自分の死後もめる事がうかがわれる人。》

相続を境に、今まで仲が良かった相続人同士の仲が悪くなるケースも多く、相続以前の段階で相続人(推定相続人)同士がもめる事は十分考えられます。
例えば、再婚して先妻の子と五歳がいる場合、血のつながりが無い為相続争いが起きやすく、遺言者自らが自分の残した財産の帰属を決めておけば無用な争いは避けられます。

《負担付遺贈をしたい人。》

負担付遺贈とは、遺言者がその相手方に対して財産をあげる見返りに、一定の義務を負担してもらう遺贈のことです。
例えば、

  • 年老いた妻の介護をする事を条件に財産をあげる。
  • 住宅ローンを引き受ける代わりに家を相続する。
  • 障害を持つ兄弟姉妹の面倒を見る条件で財産をあげる。

等が考えられます。

《相続人が誰もいない人。》

相続人がいない場合は特別な事情がない限り、遺産は国庫に帰属するので、財産をあげたい人がいれば遺言すべきです。

《社会に役立てたい人。》

公共機関・社会福祉法人・寺・神社・教会・母校・自分が有意義と思う各種団体に寄付したいなど、社会への恩返しとして公益活動に寄付したい場合は遺言が必要です。

《相続財産が分けにくい物は遺言を活用すべきです。》

分割できない土地・家屋・美術品や、分散する事で支障をきたす自社の株式などは、遺言により価値を落とさずに済みます。

《別居中の配偶者がいる。》

別居中の配偶者でも相続権はあり、配偶者以外に遺産を残したい場合は遺言すべきです。

○遺言はいつ作成するべきか

遺言は死の間際に書くものだと思っている方も多いかもしれませんが、不慮の事故や突然の病で判断能力が無くなることもあり、残された家族が困らないように作成しておくもので、身心共に元気なうちに済ませておくことをお勧めします。
満15歳以上になればいつでもできます。
遺言書は作成後いつでも何回でも内容の変更ができ、最終の遺言書に効力が発生するもので作りっぱなしではなく、時間が経過すれば経済状況や家族関係なども変化する事もあるでしょうし考え方も変わるかもしれず、その時の変化に応じた遺言書に作成し直しましょう。

【遺言書に書けること】

遺言として法的効力がある事項は限定され、これを「遺言事項」と言います。
「遺言事項」には大きく分けて

  • 1.相続に関すること:法定相続分と異なる割合で相続分を指定することや、相続人の廃除や排除 の取り消しをすることです。
  • 2.財産の処分に関すること:財産の遺贈など遺言のメインとなるものです。
  • 3.身分に関すること:婚姻届を出していない夫婦の間に生まれた子供の認知などです。
【遺言の種類】

遺言には普通方式と特別方式があります。
一般的には普通方式によって行われ、そのうちでも以下の3種類があります。

特別方式は特別な状況でやむを得ない場合にのみ使われ、4種類がありますが一般的ではない為詳細は割愛させて頂きます。

  • 4.死亡危急者の遺言
  • 5.船舶遭難者の遺言
  • 6.在船者の遺言
  • 7.伝染病隔離者の遺言
《1.自筆証書遺言》

自筆証書遺言遺言者が遺言の全文と日付・氏名を自筆で紙に書き、捺印して作成する遺言書です。
書き損じの訂正・変更については、遺言者が訂正・変更する場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名しかつ、その変更の場所に印を押さなければその効力を生じないとされており、訂正・変更の要式に従って行わなければならないので書き直した方が無難といえます。
自筆証書遺言は使用する用紙に決まりはありませんが、ワープロ・パソコンや代筆は認められず必ず自らが書かなくてはなりません。

・自筆証書遺言のメリット
内容の秘密が確保できます。
遺言を作成したこと自体を秘密にできます。
費用が掛かかりません。

・自筆証書遺言のデメリット
相続人は家庭裁判所へ検認の申立てが必要になります
検認を経ない遺言の執行は5万円以下の過料に処せられます
死後、遺言書が発見されず遺言の存在自体が知られなかったり、また見つかっても破棄される恐れがあり遺言内容の実行に確実性がありません。

《2.公正証書遺言》

公正証書遺言の作成は、まず遺言者本人が公証人役場へ行き、2人以上の証人の立会いのもとで遺言の内容を話し公証人がそれを書き記します。
記録された文章は、本人と証人が筆記の正確さを確認し、それぞれ署名・捺印をします。
公証人は遺言書が公正証書遺言の形式に従って作成された旨を記載し、最後に公証人が日付と共に封紙に記録し、本人と証人と共に署名捺印して作成します。
なお、公証人役場での証人になることはできない者として、直系血族・未成年者・相続人となる可能性のある人(推定相続人)・受遺者などがあげられます。
また、言葉の不自由な方・耳の不自由な方の場合は、本人の意思を伝えることのできる通訳を介して遺言を作成することが可能です。

・公正証書遺言のメリット
開封時の家庭裁判所の検認が不要なので、手続きの手間や費用が浮きます。
遺産分割協議が不要です。
公証人役場に原本が保管されており、万が一、謄本・正本を紛失した場合も再発行請求することができます。
公証人があらかじめ、遺言内容に違法や無効がないことをチェックするため、確実に遺言を執行することができます。

・公正証書遺言のデメリット
公証人手数料の費用が掛かります。
公証人と2人の証人の計3人の他人に内容を一時的に公開されます。
※証人にも守秘義務が求められます。

《3.秘密証書遺言》

秘密証書遺言は、公正証書遺言と同じく公証役場で作成します。
公正証書遺言との相違点としては、遺言書の内容を密封し証人も内容を確認できないところです。
自筆証書遺言と秘密証書遺言は、作成時点でその内容を遺言者本人以外に知られることがなくプライバシーを守ることができますが、相続人は遺言者の死後家庭裁判所で検認の手続きが必要となります。
※検認が不要なのは公正証書遺言の場合のみです。

・秘密証書遺言のメリット
内容の秘密が確保できます。

・秘密証書遺言のデメリット
相続人は家庭裁判所へ検認の申立てが必要となります。
検認を経ないで遺言を執行すると5万円以下の過料に処せられます。
遺言を作成したこと自体は、公証人と2人の証人の計3人の他人に知られます。
専門家のチェックを経ていないため、遺言の内容に不明確・不備等があった場合に相続人間での紛争を起こしてしまう可能性もありえます。
費用が掛かかります。

以上が、3種類の遺言の概要となります。

例外的に本人の臨終間際の場合、第三者に口述筆記をしてもらい、証人2人以上がその内容を確認し署名・捺印して作成したものも遺言として認められます。
ただし、親族などが筆記したものは内容に歪曲の恐れがあるため認められず、この場合の証人も公証人役場での証人資格と同様となります。
上記の例は、あくまでも緊急的な措置とご認識ください。

○遺言書作成時の財産調査

財産調査は遺言書の作成時に意外と見落としがちで、遺言書の内容が不十分になる事もあるのでご注意ください。
遺言書の検認の際財産がすべて記載されていなかったため、記載がなかった分の財産をどのように分けるか協議になることもあります。
通常は法定分割に従うことが多いのですが、本当の遺言者の意思を推し量ることはできません。

遺言作成時の財産調査で注意すべき点

《財産の種類と総額を把握します。》
  • 株式や金融資産の評価はいくらですか?
  • 財産の総額はどれくらいになりますか?
  • 金融機関ごとの残高がいくらありますか?
《税金対策を確認します。》
  • 生前に土地を売却しやすくしておくなど、税金を考えた対策が出来ていますか?
  • 分割の割合は固定資産税を考えたものになっていますか?
  • 納税資金対策や相続税対策が出来ていますか?
《生命保険金の受取人が誰か確認します。》
  • 受取人によっては相続財産になります。
  • 相続財産とみなし相続財産のバランスを確認する必要があります。

※みなし相続財産とは
本来は相続財産ではないが被相続人の死亡を原因として、相続人のもとに入ってきた財産を税法上みなし相続財産として扱うものです。
みなし相続財産として次のようなものがあります。

  • ・ 死亡保険金=生命保険金・損害保険金など
  • ・ 死亡退職金=功労金・弔慰金(一定額を除く)
  • ・ 生命保険契約に関する権利
  • ・ 定期金に関する権利=個人年金など
  • ・ 遺言によって受けた利益=借金の免除など
  • ・被相続人が死亡する3年前までの間に贈与した財産=相続人が死亡する直前に節税のために贈与しておくことを防ぐために作られている規定です。

死亡保険金などは民法上は亡くなった人の財産(遺産)ではなく、死亡によって契約上受取人に指定された者が受取る固有の財産でが、相続税法上は相続財産とみなして相続税を課すと定め、これをみなし相続財産と呼んでいます。

《不動産評価の確認をします。》

定期借地権・底地権・抵当権などの権利関係のある土地ではないですか?
農地・生産緑地など、相続した後扱いづらい土地ではないですか?
実際どれだけの価値があるのか収益物件となるか、また相続人にとって価値がありますか?
売却できるのか、また売却しやすいよう対策がしてありますか?
財産調査は、遺言の内容を実現するうえで大変重要です。
遺言には様々な役割がありより効果的に活用いただくために、作成する前にしっかりと財産調査を行うことをお勧めいたします。

以上、遺産相続における遺言書の作り方についてお伝えしました。

遺産相続は法律で定められた内容に沿って厳格に行なわれるものであるため、文章や文言にやや難解な部分があり平易にお伝えできたか心配なところもありますが、極めて重要な事柄だけに十分ご理解いただいたうえでお進め下さい。

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